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AIに自分らしい文章を書かせるプロンプト3ステップ

ChatGPTやClaudeにあなたの口調を覚えさせて、AIっぽさを消す3ステップの手順。今日からコピペで使えるプロンプト付き。

AIに自分らしい文章を書かせるプロンプト3ステップ
読めばすぐ気づきます。文法は正しいのに、なぜか広報部が委員会で書いた press release みたいに響く。普段ならカジュアルに書く場面で妙にかしこまっていて、ひとことで済ませたい話がやたら長い。「活用する」「最適化する」みたいな、自分なら絶対に口にしない単語が並んでいます。
これがAIのデフォルトの声で、要するに誰の声でもありません。ただ、対処法はあります。「自然に書いて」「もっと人間っぽく」みたいな曖昧な指示ではなく、あなた自身の話し方をAIに教える、具体的な手順を踏むだけです。

なぜAIは堅苦しい文章になるのか

ChatGPTやClaudeに文体の指示なしでざっくり頼むと、AIは無難で堅めの言葉で空白を埋めにかかります。ライターを雇って「いい感じに書いといて」と丸投げするのと同じです。方向性が見えなければ、安全側に倒し、必要以上に複雑にし、結局はビジネス文書っぽい言い回しに落ち着いてしまいます。
わかりやすいのが語彙です。ある調査によると、AIモデルは特定の単語を人間の最大150倍の頻度で使います。たとえば「タペストリー」「掘り下げる」「多面的な」「ナビゲートする」といった語は、AIの出力には頻出するのに、普段の文章にはほとんど登場しません。
語彙以外にも、AIの文章にはこんな癖があります。
  • 文の長さや構造が似たりよったりで、リズムが単調
  • 出だしに「現代の急速に変化する社会では…」みたいな前置きを置きがち
  • 口語的な省略や砕けた表現を避ける
  • ぼかしたほうが自然な場面でも、断言しすぎる
解決策は「もっと人間らしく書いて」と伝えることではありません。それでは抽象的すぎます。やるべきは、あなたの文章はこういうものだとAIに具体的に見せて、それに合わせさせることです。

自分の文体を覚えさせる3ステップ

ChatGPT、Claude、Gemini、どのAIアシスタントでも使える方法です。最初の準備に10分ほどかかりますが、一度作ってしまえば何度でも使い回せます。

ステップ1:自分の文章サンプルを集める

自分らしい文章を2〜3本選びます。整えた広告コピーや堅い報告書ではなく、素のあなたが出ているもの。具体的には、こういう素材がおすすめです。
  • 深く考えずにサッと書いた仕事のメール
  • 同僚に送ったSlackやTeamsのメッセージ
  • SNSの投稿やコメント
  • 自分で書いているブログやニュースレター
  • ちょっと長めの説明が必要だったLINEやメッセージ
合計で300〜500字あれば十分です。それっぽいサンプルを大量に集めるより、ちゃんと自分らしい1本のほうが効きます。「人によく見せよう」と意識せずに書いた文章を選ぶこと。そこに本当の文体が出ています。
AIに自分の文体を覚えさせるためにメールやメッセージから文章サンプルを選ぶ様子
AIに自分の文体を覚えさせるためにメールやメッセージから文章サンプルを選ぶ様子

ステップ2:AIに自分の文体を分析させる

サンプルを貼り付けて、AIに文章の特徴を言語化してもらいます。これで再利用可能な「文体プロファイル」が手に入り、これからのプロンプトに毎回貼り付けて使えます。
プロンプトはこちらです。

以下のサンプルから、私の文体を分析してください。次の観点で特徴を言語化してください。

1. 文の構造(短い/長い、シンプル/複雑)
2. 語彙のレベル(カジュアル、ビジネス、専門的)
3. トーン(あたたかい、率直、ユーモラス、フォーマル)
4. よく出る癖(文の出だし、つなぎ言葉、句読点の使い方)
5. 避けている表現(フォーマルさ、専門用語、定型句)

抽象的にせず、本文から具体例を引用してください。

文章サンプル:
{{your_writing_samples}}
返ってくるのは、たとえばこんな分析です。「文は短くテンポが速く、平均8〜12語。省略形を多用し、『でも』『あと』で文を始める。トーンは率直だがあたたかい。前置きは省く一方で『あなた』への呼びかけが多い。『活用する』『最適化する』のようなビジネス語は避け、『〜するために』ではなく『〜に』で済ませる。」
この分析結果を保存しておきます。これがあなたの文体プロファイルで、ステップ3で使います。

ステップ3:文体プロファイルをプロンプトに差し込む

あとはAIに文章を頼むときに、その文体プロファイルを毎回添えるだけ。テンプレートはこちらです。

以下の文体で書いてください。
{{your_voice_profile}}

タスク:{{what_you_need_written}}
たとえば文体プロファイルに「短い文、省略形を多用、専門用語を避ける」と書いてあれば、AIはその癖をなぞって書くようになり、いつもの堅いトーンに勝手に戻したりしません。
プロファイルは具体的なほど効きます。「カジュアルでフレンドリー」だけでは弱い。「短い文、省略形を多用、段落を疑問文で始める、『活用する』『最適化する』は使わない」くらい踏み込むと、AIは何を真似ればいいかすぐ理解します。

今日からコピペで使えるプロンプト集

各ステップでそのまま使えるプロンプトをまとめました。{{variables}} の部分だけ自分用に差し替えて使ってください。

文体分析プロンプト

以下のサンプルから、私の文体を分析してください。今後のプロンプトに貼り付けて使える「文体プロファイル」として、次の項目を含めてまとめてください。

- 文の長さや構造の癖
- 語彙の選び方と読みやすさのレベル
- トーンと人柄
- よく使うフレーズ、つなぎ言葉、書き出し
- いつも避けている表現

コピペで再利用できる箇条書きのリスト形式でお願いします。

サンプル:
{{writing_samples}}

自分の文体で書かせるプロンプト

以下を、私の文体で書いてください。次のスタイルに正確に合わせてください。

{{voice_profile}}

書いてほしい内容:
{{topic_or_task}}

注意:私が普段使わないようなフォーマルさを足さないでください。サンプルがカジュアルなら、カジュアルのまま書いてください。

文体チェックプロンプト

出力された文章が自分の文体に合っているかを確認するときに使います。

以下のテキストを私の文体プロファイルと照らし合わせ、合っていない箇所を指摘してください。

私の文体プロファイル:
{{voice_profile}}

確認対象のテキスト:
{{ai_generated_text}}

私らしくない単語、フレーズ、書き方を、具体的に挙げてください。
メールに報告書、用途ごとに似たプロンプトを何度も書き直しているなら、PromptNest のようなツールに {{variables}} 付きで保存しておくと便利です。穴埋めしてコピペするだけ。毎回ゼロから書き直す必要がありません。

時間がないときの応急テクニック

本命は3ステップの方法ですが、急いでいるときの裏技もあります。完全に自分の文体になるわけではありませんが、AIのデフォルト出力よりはずっと自然になります。

「友達にLINEする」テクニック

プロンプトの末尾にこう付け足します。

これを、友達にLINEを送るようなトーンで書いてください。冒頭の挨拶や絵文字、最後の締め言葉は不要です。
BGRの記事によれば、たったこれだけで出力のトーンが大きく変わります。完璧にあなたらしくはなりませんが、ロボットっぽい堅さの大半は剥がれ落ちます。

トーンを表す言葉を重ねる

形容詞ひとつでは足りません。Nielsen Norman Groupの調査では、複数の言葉を重ねるとAIが特定の解釈に偏るのを防げるとされています。
❌ 「カジュアルなトーンで書いて」

⭕ 「カジュアルで、率直で、ちょっと皮肉っぽいトーンで書いて。コーヒーを飲みながら何かを説明している頭のいい友達みたいに。」
ロボットっぽいAIの文章と文体テクニックを適用したあとの自然な文章を並べた比較
ロボットっぽいAIの文章と文体テクニックを適用したあとの自然な文章を並べた比較

使ってほしくない言葉を指定する

いちばん手っ取り早いのは、「AIが書いた」と一発でわかる単語を禁止リストにすることです。たとえばこんな一文を足します。

次の単語や表現は使わないでください:活用する、最適化する、掘り下げる、タペストリー、現代社会では、〜であることに留意することが重要、ナビゲートする、多面的な、効率化する、最先端の
気になるものに合わせてリストはカスタマイズできます。何回か試すと、自分のAIにどの言い回しが繰り返し出てくるかが見えてくるので、そこを狙って禁止すれば効きます。

それでも人の手が必要なところ

完璧な文体プロファイルを用意しても、AIの出力はあくまでスタート地点で、最終稿ではありません。MITのプロンプティングガイドも、AIが生成した文章は人の手でレビューすべき素材として扱うべきだと書いています。
AIがいまだに苦手なのは、こういう部分です。
  • 感情の機微 — 文の構造は真似できても、ここはやさしく行くか直球で行くか、その肌感覚は再現できません
  • 文脈の判断 — 相手との関係性や、職場の空気みたいなものをAIは知りません
  • 本物のエピソード — トーンに合った例を作ることはできても、それはあなたの体験ではありません
  • ルールを崩す勘どころ — 普段よりかしこまったほうがいい場面、いつもなら言わない冗談を入れたい場面の判断
目指しているのは、書く作業から自分を抜くことではありません。20%しか自分らしくない初稿が、80%自分らしくなれば、編集にかける時間を「ロボットっぽさを消す作業」から「もっと良くする作業」に振り直せる。それだけで全然ちがいます。

自分のプロンプトライブラリを育てる

文体プロファイルはあくまで出発点です。やっていくうちに、用途別のプロンプトが増えてきます。クライアント向けメール、社内メモ、SNS投稿、メンバーへのフィードバック。それぞれで自分の文体を少しずつチューニングする必要が出てきます。
大事なのは、効いたプロンプトを残しておくこと。多くの人は適当なメモやドキュメントに散らかし、最悪まったく保存していません。結果、過去に磨き上げたはずのプロンプトを毎回書き直すか、前回の言い回しを思い出せず、出力もバラバラになります。
PromptNest はMacのネイティブアプリで、Mac App Storeで $19.99 の買い切り。サブスクなし、アカウント登録なし、ローカルで動きます。文体分析プロンプトも、自分の文体で書かせるテンプレートも、派生バージョンもまとめて保存できます。プロジェクトや用途で整理しておけば、必要なときに検索して {{variables}} を埋めてコピーするだけ。文体に一貫性が出て、書いたはずのプロンプトをまた書き直す消耗から抜けられます。
まずはこの記事の3つのプロンプトから始めてみてください。文体プロファイルもメモとして残しておく。あとは少しずつ足していけば、数週間でAIとのやりとりがすべて自分らしく聞こえる、自分専用のツールキットができあがります。